【パートナーインタビュー】DATAFLUCT吉岡さん:カーボンニュートラルな明日をつくる
私たちが発行している「SAISON CARD Digital for becoz」(以下:becoz card)は、株式会社DATAFLUCT(※1)(以下:DATAFLUCT)が提供する個人のCO2排出量を可視化・オフセットできるサービス「becoz wallet」にクレジット決済データを自動連携させることでCO2排出量を可視化できるクレジットカードです。
DATAFLUCTと私たちは両社横断プロジェクトを組成し、becoz cardを通じて、カーボンニュートラルな生活を後押しする活動をしています。
DATAFLUCTのプロジェクトリーダーが、吉岡 詩織さんです。
環境問題について、事業を通してソリューションに取り組んでいらっしゃる吉岡さんに、becoz card発行1周年を迎えた想いや今後の展望についてお話を聞きました。
※1 DATAFLUCT企業サイト:https://datafluct.com/
※記事の内容は、取材当時のものです。
新たな価値をつくる中で見えてきたもの
―becoz card発行から1年が経ち、クレディセゾンとのプロジェクトで進化したことはありますか?
発行からの1年間は、本当に紆余曲折がありました。
サービス立ち上げ時にいろいろなハードルもありましたが、クレディセゾンさんの部門横断プロジェクトの皆さんの熱意に勇気づけられました!
サービス開発の準備期間を含めると1年以上活動していますが、本当にあっという間でしたね。
サービスリリースから1年が経ち、会員さまの購買データの蓄積ができはじめて利用動向のデータ分析もできるようになりました。
becoz cardを使うとCO2排出量が可視化できるため、会員さまが普段使わないところでも試しにカードを使ってみようというモチベーションが働いていることもわかりました。
データが集まってきたということも一つの進化だと思います。
そして発行1周年を記念して新たに「赤城自然園」とのサービスを追加しました。クレディセゾンさんが広大な自然園の運営をしていることを知らなかったのですが、環境保全につながる新たな取り組みとして、もっと世の中に広まっていくと嬉しいなと思っています。
またリアルでの環境イベントを開催したり、お客さまにbecoz cardの価値を直接ご提案し反応をいただけたことも大きな出来事でした。
沸き上がる環境への想いと新たなチャレンジ
―御社のプロジェクトリーダーをご担当され、嬉しかったことや苦戦したことなどはありましたか?
私自身は元々金融系のキャリアで、資産運用と年金基金の運用、インフラの再生可能エネルギーのファンド立ち上げなどを行っていました。
その際、ESG投資の勉強をしていく中で、「環境が根幹で、環境がダメだと経済活動もダメになってしまう。社会的な生活を送れなくなる。」と感じるようになりました。
環境への想いが大きくなっていく中で、今の立ち位置だとコンサルティングなど間接的な関わりしか持てないのではないかと感じ、生活者の近くでサービスを作っていくことに大きな魅力を感じるようになりました。
そんな中DATAFLUCTに転職する機会を得てゼロからIT業界の勉強や、プロダクト開発の優先順位づけ、プロジェクトマネジメントやオープンイノベーション…たくさんの書籍も読み勉強をしました。
このプロジェクトを担当して嬉しかったことは、クレディセゾンさんとのプレスリリースを発表し両親が喜んでくれたことです!
DATAFLUCTに入社して初めての案件がこのbecoz cardのプロジェクトでした。
ちゃんと胸を張って、世の中に対しこんな面白いことの提供や提案ができていると感じています!
一方で、プロジェクト立ち上げ時の最初の頃は本当に本当に大変で…。
調整事項がとても多かったことと、スタートアップで限られたリソースの中でやっていくことに苦戦をしました。
その中でも、上司、社内メンバーやお客さまの反響を励みに乗り越えることができました。本当に優しい方が多く、周りの人に恵まれていると感謝しています。
becoz cardを通じた行動変容への投げかけ
―現在のプロジェクトの取り組みにおける成果と課題はありますか?
個人のCO2 排出量を可視化できるbecoz cardを「面白い!」とリアクションをいただいています。
カードの決済データの可視化は、国内では業界でも初めてのサービスでしたが、スピード感を重視して数か月でリリースまでもっていけたことは成果だと思っています。
海外ベンチャーであるスウェーデンのDoconomyさんとクレディセゾンさんとの3社でお客さまが手に取れる新しいサービスを作れたこともとても良かったです。
今年の3月には、このbecoz cardのコンセプトに多くの共感をいただき、2つの賞を受賞することもできました。
一方で、課題としてはどんなサービスが求められているか検証が必要だと思っています。このサービスの魅力を今後どう味付けして料理をしていくか、becozが担うべきところだと捉えこれから改善していく課題だと思います。
大きな問題でも身近に感じるようにしていくことが大切
―今進めていらっしゃる「becoz challenge」立ち上げの背景や反響はいかがですか?
もともと環境家計簿ということで、まじめなサービスを考えていました。
環境先進層をターゲットとして想定していたのですが、大きな考えの転換がありました。
地球規模の問題を課題解決の目的にすると、人間一人だととてもちっぽけに感じますよね。大きな問題をいかに小さくローカルで取り組める見せ方ができるかは重要だと考えます。
その時に、地域のサッカーチームとご縁があり、サポーターのエコな取り組みを拡大しCO2削減量を可視化したいというお声から、仲間やチームでエコ活動に参画できる新たなサービス「becoz challenge」を立ち上げました。
このサッカーチームで3か月の期間を区切ってキャンペーンを実施し、とても大きな反響をいただきました。
実際にこのbecoz challengeにご参加いただいた方で「子どもと一緒に取り組めました!家族間でコミュニケーションが生まれました!」というお声がありました。
まさにサービス設計時に、想定していたユースケースが発生していて、こちらで描いていたイメージ通りの使い方をしてくれて嬉しかったです。
このように、「大きな問題でも身近に感じるように、ジブンゴトにしていくこと」が大切だと感じます。
この取り組みを受けて、他のスポーツでも「becoz challengeをやりたい!」また、地域のお祭りや小学校でも応用できないか、食品・飲料メーカーのお客さまからも取り入れることができないかとお声をいただきました。さまざまなケースを想定してこのサービスを拡大していきたいです。
明日を変えていくための新たな展望
―クレディセゾンと一緒に「社会にこんな変革をもたらしたい」という新たな展望はありますか?
決済は電気やガスと並ぶ大きなインフラだと思っていて、色をつけることが難しいと感じます。理由としては、お得さや安さで選ばれてしまうこともあるからです。
becozだからこそできるCO2排出量可視化は差別化の要素があるので、差別化していきながらインフラの色づけをしていきます。
そして、社会に存在感を示していきたいです。
家庭でのCO2削減のインパクトは、太陽光パネルの導入や電気自動車等、高額なサービスが多いと思います。
ただ、設備はみんなが使うデフォルトであってほしいと思っています。
そのため、金融サービスの役割は設備を整えるうえでとても重要で、社会の変革に貢献できるものだと思います。
海外だと電気自動車に対して、自動車税や消費税が課されないもしくは低いため、新車販売台数のうち電気自動車が半数以上という事例もあります(※2)。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、大胆に、決済を担う金融業界をはじめ、いろいろな業界の方が協力して社会の変化を促すことが大切だと思います。
―吉岡さん、ありがとうございました!これからもよろしくお願いいたします!