海外赴任4年目、事業を通じて見えたインドネシアの魅力
私たちは、2015年にインドネシアに事業進出をし、PT. Saison Modern Finance(以下:Credit Saison Indonesia)を設立しました。
現地では中小企業向けのダイレクトレンディングを中心に展開し、Fintech企業を介して中小企業や個人顧客向けの融資も提供しています。
現地では35名のメンバーが働いていて、日本から赴任しているメンバーは2名です。
今回はインドネシアへ赴任されて4年目の大賀さんにお話を聞きました。
※この記事の内容は、取材当時のものです。
「海外で仕事がしたい」自ら手を挙げインドネシアへ
―大賀さんのインドネシア赴任のきっかけをお伺いしたいです。また赴任が決まった時の率直なお気持ちはどうでしたか?
社内公募制度で手を挙げ、インドネシアへ赴任となりました。
「人生で一度は海外で働きたい!」と思っていたので、合格した時はとても嬉しかったです。
―2020年1月に大賀さんが赴任された時のインドネシア事業の体制と現地の様子はどうでしたか?
私が、赴任した当時は全従業員数10名足らずで規模としては小さく、赴任者の役割は事業戦略や計画を主導するだけでなく細かい実務も担当していました。
私はそれまでカードのオペレーション部門をメインとしたキャリアだったので最初は本当に何も分からず戸惑いました・・・。
とにかくあらゆることに対して挑戦する日々だったのを覚えています。
ご存じの通り2020年初頭より全世界で新型コロナウィルスが蔓延し、インドネシアでも3月に初めて感染者が発表されました。
当時は未知のウィルスだったこともあり、安全確保のため会社判断のもと一時帰国指示があり、赴任して数か月足らずで日本へ退避することとなりました。
その後3か月は日本からリモート勤務となりましたが、まだ現地での仕事や生活に慣れていない段階だったので、個人的には焦りを感じていました。
コロナ禍において、インドネシアでは早い段階から大規模社会制限といういわゆるロックダウンに似た措置が取られ、職場、公共施設、文化社会活動、交通機関などで人数規制や利用制限が設けられました。
職場に出勤できる人数が制限されたのでCredit Saison Indonesiaでは早い段階からリモート勤務と職場勤務のハイブリット体制を整備しました。
日本と大きく異なるのは、このような政府からの発表は突然出されるため、日々の情報収集と対応に追われていました。
お互いを尊重し、信頼関係を築くことが大切
―インドネシアメンバーの働き方について日本との違いはありますか?
また現地メンバーの雰囲気やお人柄なども教えてください。
Credit Saison Indonesiaオフィスはジャカルタ南部の大使館や外資系企業が集中しているエリア(メガクニンガン)に位置していますが、最寄りに電車やバス停がないため、従業員は主に車やバイクタクシーで出勤しています。
彼らの大多数はイスラム教徒で、一日5回礼拝をおこないますので、その時間にはミーティングを入れません。また、断食月が毎年ありますが、その間日中は基本的に飲食をしません。その為、会社側は就業時間を1時間早めて彼らが日没前には帰宅できるように配慮します。お互いの信仰を尊重することが当たり前となっています。
またこれはインドネシアだけではないかと思いますが、以前の日本のような「終身雇用」という意識は薄く、キャリアアップのために数年で転職する方が多いです。
会社への帰属意識というよりは上司への信頼や関係性を重視する傾向にあるので、転職理由もかつての上司に誘われて、というようなケースをよく聞きます。なので日頃からコミュニケーションを密にとり、信頼関係を作ることがとても大切です!
社内メンバーだけではないですが、インドネシアの方は全体的に控えめで温厚な方が多く、群れを好む(協調性のある)人が多いです。その点は日本人と似ていると思います!
大きな進化、現地メンバーがビジネスを牽引
―現在の担当業務について教えてください。やりがいや苦戦していることはありますか?
赴任当初私は営業を担当し、新規パートナー獲得や既存パートナーとの事業拡大を進めていました。
相手は日系企業ではなくインドネシアのやFintechやスタートアップ企業なので、言語面や商慣習、インドネシアならではの常識等、日本人にとって難しいこと、分からないことが沢山ありました。
これは営業部門だけでなく、顧客対応、審査、回収業務等すべてにおいて当てはまることだと思います。
そんなこともあり、赴任者がすべてを遂行していくフェーズから、徐々にローカルメンバーに権限移譲し彼らが主体となって進めていく体制に変えていきました。
コロナがひと段落した2022年頃からは全ての部門でマネージャー層の採用をおこない、各主要ポジションにローカルマネージャーを置きました。会社の規模も拡大し現在では従業員数33名+赴任者2名(拠点長+私)です。
私の現在の役割は、クレディセゾン本社やシンガポールにある国際統括拠点(IHQ)との連携、取締役会や各種委員会の運営管理、監査対応、規程類の整備等と、管理者的立場で会社運営のサポートをする部分が大きいですが、それに加えてまだ人員が少ないIT部門も管掌しています。
日本で勤務していた時には携わったことのないことばかりですし、現地取締役に本社やIHQ側の意向を理解してもらうことが重要なので、いかに現地メンバーの信頼を得られるかがキーとなります。
その為には日頃から真面目に一生懸命働くことや「これだったら大賀に確認すればわかる!」と頼ってもらえるような、会社にとって必要な存在になることが大切だと感じます。
ビジネスをよりスピーディーに進めるための工夫
―現在のCredit Saison Indonesiaはローカル戦略が進む中、ビジネスの根幹となるシステムもローカルベンダーに移行するプロジェクトが進行しているとのこと、その背景を教えてください。
Credit Saison Indonesiaではこれまで日系ベンダー会社のシステムを使用していましたが、ビジネスが進むにつれて既存の機能だけでは不十分となり、既存システム機能を拡充するか、ローカルベンダーに移行するかを1年ほど前より検討し始めました。
日系ベンダー会社を使用するメリットもありますが、実際にシステムを使うのはインドネシアのメンバーですし、ベンダー会社側もメンテナンスやトラブルサポートをするのはインドネシアの方です。よりスピーディーに、効率的に意思疎通をはかる為には、現地メンバー主体となって取り組むことが重要だと思います。
私はあくまでプロジェクトマネージャーとして全体のスケジュール管理や指揮をしていますが、実際の要件定義等のベンダーとのコミュニケーションはローカルのIT担当に任せています。
インドネシアでの4年間、これからの展望
―4年間の赴任を通して感じていること、自分自身の変化はありましたか?
これまでの4年間を振り返ると本当に色々な経験をさせていただいているなと思います。
住めば都というように、どんどんインドネシアが好きになってきますし最初の頃とは変わっていつの間にか住みやすいと思うようになりました。
社員の誕生日になると、スイーツやケーキ等を用意して皆でお祝い、写真撮影するのが通例となっています。
社員が30人超になりましたので、ほぼ毎月誰かをお祝いしています!
その他バトミントンやボーリング等の社内イベントを定期的に開催したり、チームビルディングのためにゲームをしたりすると、みんな全力で楽しみます。
基本的に楽観的で前向きな方が多いので、自分が仕事に行き詰った時には「大丈夫、何とかなるよ!」と励ましてくれ支えてくれていると感じます。
仕事への向き合い方については、自分自身が変化したかと言われるとあまり自覚はありません。国や言葉は違っても日本にいたときと同じだと思っています。
今後Credit Saison Indonesiaが事業拡大していく中で、会社としての利益を出していくことも重要ですが、それをかなえるために従業員が楽しく前向きに働ける組織にしていくこと、皆で挑戦して成長していく環境にしていくことが自分の今のやりがいです。
―大賀さん、ありがとうございました!