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「お互いを認め合い、活かし合う」組織へ。考え抜くことが「当たり前」の環境を作りたい 【サステナビリティ推進委員会 DE&I推進WG編】

私たちが生活者の一人として商品・サービスを選ぶ際、価格や品質だけでなく、その商品にはどんなストーリーがあるか、環境に配慮したサプライチェーンになっているか、などを気にすることが多くなったのではないでしょうか。「サステナブルかどうか」は、私たちにとって、より身近で大切な考え方になっています。

1980年代よりESG経営を行ってきた私たちクレディセゾンは、ステークホルダーの信頼を得ながら持続的に成長していくために、「今よりもっと便利で豊かな持続可能な社会の実現」を目指し、クレディセゾングループだからこそできる様々な取り組みを行っています。

2021年8月に設置した「サステナビリティ推進委員会」では、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)解決に向け、「気候変動戦略推進WG※1」「DE&I※2 推進WG」「Social Impact推進WG」の3つのWGを通じて、グループ全体で事業を通じた社会・環境課題解決への取り組みを強化しています。

前回の気候変動戦略推進WG編に続き、今回はDE&I推進WGの取り組み内容や、クレディセゾンのサステナビリティについて、WG事務局の戦略人事部 吉田さんにお話を聞いてきました。

※1  WG:ワーキンググループ
※2  DE&I:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
※    記事の内容は取材当時のものです。

吉田 桃子(よしだ ももこ)
クレディセゾン 戦略人事部

― DE&I推進WGの活動について教えてください。

DE&I推進WGの主なミッションは「社員の多様な活躍を実現する環境整備と風土醸成」です。
中期経営計画の実現を支える経営基盤のひとつとして、また会社が成長し続けるカギとなるのが「人的資本」であり、当社の人材についてはかなり多様性が進んできました。 

WGでは、「価値創造に貢献できる人材を増やす」をテーマとする人材戦略を基盤とし、エクイティ(公正性)を軸に、ジェンダー・ライフイベント・ハンディキャップ等の様々なバックグラウンドにかかわらず、誰もが挑戦する機会を公平に享受できる環境づくりに取り組んでいます。また、そこで個性と強みを発揮できることが「当たり前」になる組織風土の醸成を目指した活動を行っています。

―  WG発足の目的はどんなことですか?

当社は2015年をダイバーシティ元年として、女性のみならず多様なバックグラウンドや価値観を持つ社員一人ひとりの活躍に向けて取組みを行ってきた歴史があります。サステナビリティ推進委員会の下部組織である「DE&I推進WG」は、その流れを汲んでより一層多様な人材が実現することができるよう企業風土を盤石なものにすることを目的としています。

―  取り組み2年目となった2022年度はWGとしてどのような目標を掲げ、活動を行いましたか?

活動2年目の目標としては、大きく2点掲げていました。
1つは、当社DE&Iの更なる推進に向け、新中期経営計画等で経営層から発信された経営基盤としての「人的資本」「多様性」の捉え方、世の中の潮流を踏まえて、「DE&I2.0」として方針・目指す姿を捉えなおすこと。

2つ目は、会社の実態を把握したうえで重要テーマを選定すること。テーマ毎の課題を解決するための取組みの企画と実施をすることです。
検討の結果、「ジェンダー格差解消(女性のキャリア、男性育児参画)」「LGBTQ」「障がい者の雇用定着」の3点を重要テーマとし、すでに取り組んでいるものも含めてより一層取組みを加速させていくこととなりました。

テーマを選定するにあたり、「活躍」という言葉の壁にぶつかりました。例えば、世で言う「女性活躍」とは、発言権を持つこと、すわなち管理職に就くことを意味しています。しかし、長い女性社員推進の歴史や、現在の社員の挑戦を後押しする人事制度により、当社の約7割を占める女性社員の活躍の仕方はすでに多種多様で、「活躍=管理職」という画一的なものではありません。私自身一人の女性として、このテーマについて議論する際、「男性が女性を公平に扱うには?」「女性をより押し上げるべき」という視点には大きな違和感があります。DE&Iの本質は男女平等に限った話ではなく、女性管理職を増やすことでもありません。

全社員が個々の個性や強みを活かして活躍ができる仕組みづくりと並行して、「リーダー像」の認識を改め、ジェンダーや様々なバックグラウンドにかかわらず、優秀な人材が発言権のあるポジションに登用される環境・風土づくりを行う必要があると思います。

― 活動の中で吉田さんはどのような役割をしているのですか?

活動の中での自分の役割としては、WGとのリレーションが特に必要となる戦略人事部に所属しているため、双方の動きを連携しながら、管理職比率や制度利用率等の社員情報分析、各重要テーマの制度等ハード面の拡充・見直しを行ってきました。

また、推進に伴い根幹となるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)について、改めてWGメンバーに重要性を問いかけメンバー全員で研修を受講しました。同概念については、新任マネージャー研修の中でも触れてはいますが、今後各レイヤーに向けて研修等を実施しより深い「気づき」の場を設けたいと考えています。

WGで風土醸成を行いながら並行して、制度面でも今後より社員一人ひとりが仕事と生活を両立しながら、イキイキと働き続けられる土壌を整えていきます。

ー   WGを通じて、他部門との横断的な取り組みをすることでの課題や成果はなんですか?

レイヤー問わず、全社員の「当事者意識」が課題です。DE&Iを真に企業文化として浸透させるための近道はないですし、WGだけが旗を振っていても前には進みません。全社員の意識改革に地道に取組み、インクルーシブな視点を持ちながら各事業部主導で取り組んでいく必要があります。

2023年度に入ってから、当社のDE&Iビジョン、目指すゴールを経営層に改めてご理解いただき、水野社長から全社に対する、全役員とその配下の部長陣から担当する事業部におけるDE&I宣言を行いました。
水野社長自らが、改めて多様性の重要性・および率先垂範で推進に向けたバックアップを宣言してくださったことは、DE&I推進を更に加速させるものだと感じます。

ー 今後WGでの取り組みをどのようにしていきたいか教えてください。

3年目となる今期のゴールは、DE&I推進における土台作りとして、社員一人ひとりが「お互いを認め合い、活かし合う」“多様性受容力”を身に着けること。具体的に大きく3点に取組みます。

1つは、経営層のDE&I宣言を全社レベルで定着させるための各種施策の企画・実行。2つ目は、3つの重要テーマに関する施策の企画・実行。3つ目は、根幹となるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)排除に向けた各レイヤーへの働きかけです。活動する中で決して絵にかいた餅にならないこと・綺麗ごとにならないことは常に留意したいです。

当社は1980年代から、社員全員活躍に向けた人事制度のリニューアル、多様な働き方の実現に向けた制度の拡充や取組みを行ってきました。
今後大切なのは制度そのものだけでなく、それを実践していくための企業文化だと思います。
活動を形骸化させずに細かなPDCAを回し、会社の実態に合わせてアジャイルにアップデートしながら、定着に向けて一歩一歩取組み続けます。
 
個々が成長するためには、「居心地の悪い場所」に身を置く必要があります。WGを起点に社員の同質性を打破し、社内に「居心地の悪い場所」を増やしていきたいです。その結果、“理解できない価値観”を共有しあい、お互いの許容のために考え抜くことが「当たり前」になる環境を作っていければと思います。

― 吉田さん、ありがとうございました!次回、「Social Impact推進WG」についてご紹介します。

統合レポート「Credit Saison Integrated Report 2022」をぜひご覧ください。当社で4 回目の発行となる本誌は、「新中期経営計画」と「サステナビリティ」を 2 大強化ポイントに、当社のサステナビリティ推進における重要課題(マテリアリティ)と取り組みをまとめています。