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能登半島地震~ニトリと協同支援「仮設住宅へ生活必需品の寄贈」を開始

2024年1月1日に発生した能登半島地震は、多くの住民の方々が被災され 、生活の基盤を失いました。私たちは、株式会社ニトリ(以下:ニトリ)と協同し、能登半島地震被災地⽀援の枠組みを構築しました。この支援活動を通じて、少しでも被災者の方々の生活を支えたいという思いで取り組んでいます。

6月にブランディング戦略部の武田さんと飯村さんが実際に現地を訪れました。今回は、感じたこと、見たこと、そして被災者の方々から直接聞いた声について、飯村さんにお話を聞きました。

※この記事の内容は、取材当時のものです。

飯村 美紀(いいむら みき)
株式会社クレディセゾン ブランディング戦略部 課長


寄付で繋がる未来。クレディセゾンの社会貢献活動

―今までのクレディセゾンが行ってきた寄付活動について教えてください。

当社は、永久不滅ポイント交換やセゾンカード・UCカード決済による寄付により、社会的意義の高い活動や自然災害復興への支援に協力しています。

緊急性の高い災害寄付においては、一日も早く被災地域の復旧・復興にお役立ていただくことを目的とし、2011年に発生した東日本大震災や2021年7月静岡県豪雨災害では支援団体や自治体へ直接寄付をさせていただきました。そのほかの緊急人道支援として2022年9月にウクライナ大使館へ寄付させていただいております。

また、医療支援においては、医療の届かないところに医療を届けることを理念とされている「特定非営利活動法人ジャパンハート」、iPS細胞(再生医療や薬の研究に利用される)の実用化に向けた「iPS細胞研究基金」への寄付を継続的に行っております。

―今回当社が行っている能登半島地震の被災地での寄付活動について具体的に教えてください。

被災地域の皆様が本当に望むもの(ニーズ)に応え、生活復興にスピーディにサポートできる方法は何かを検討していたところ、ニトリグループはこれまでも積極的な被災地支援活動を行っており、災害時のニトリの姿勢に深く共感しました。

このたび、業界の垣根を超え、ニトリと被災地支援の枠組みを構築し、お客様からお預かりした募金 6,000 万円に加え、当社から2,000 万円、ニトリからこれまでの能登半島地震に関する支援1,700 万円を含めた4,000 万円、総額1.2 億円分の支援物資*を寄贈することになりました。

*国・県の費用負担対象外である電子レンジやテーブル、布団セット、冷蔵庫などの生活必需品。

ニトリの布団使用状況
支援物資の冷蔵庫をお届けしました

また、度々メディアでも取り上げられておりましたが、被災動物の救護や一時預かりの問題を知り、日本獣医師会を通じて被災動物保護の支援として、お客様からお預かりした募金約500万円の寄付を行いました。

やはり課題は、被災地域の方々のニーズに本当に応えられているか、会員様から預かった想いをきちんと届けられているかが明確にできていないところだと感じております。そのため、直接現地へ行き、自分たちの目で見て、被災者の方々と直接お話させていただくことで、さらなる寄付のかたちを模索したいと考えております。

被災地のリアルな声を届ける:珠洲市の現状

―現地の状況について教えてください。

津波被害があった珠洲市に伺わせていただきました。まず、現地に着いて最初に感じたのは、言葉を失うくらいのショックでした。倒壊した家屋や瓦礫の山、大きな地割れ、運行していないバス停の止まってしまった時計など、人や車もたまに見かける程度で、正直ここは現実なのかと思いました。

今回、ニトリのご協力のもと、宝立小中学校に建設された仮設住宅・仮設住宅集会所の見学および集会所での意見交換会にも同席させていただきました。

被災者の方と直接お話させていただいたので、被災地の生の声をお届けしたいと思います。

宝立小中学仮設住宅集会所の意見交換会

<珠洲市の現状>

高齢化率53%、市民の方は避難所・仮設住宅・在宅・みなし仮設・県外へ自主避難され、約5000名が市内に住まわれています。ライフラインやインフラはまだ整っておらず、断水が解消されても家の蛇口から水が出ないところもあり、満足に家の中で水を使うことができない状況です。

<仮設住宅について>

2024年2月から仮設住宅への入居が開始、市内には現在16カ所仮設住宅団地があり、834世帯/1738人が生活されています(2024年6月11日現在)。

まだ希望者全員が入居できておらず、避難所生活を余儀なくされている方も大勢いらっしゃいますが、徐々に被災者の方々の関心はこの先の暮らしに向いてきており、生活再建・福祉からの両方から支え合える環境の必要性や、孤独死・孤立に対する見回り巡回など高齢化率が高いからこその課題をもたれていました。

広さは、2K(洋室2室、台所があり9坪相当)が多いものの、小さいところだと4畳半に2人で住んでいる方もいらっしゃるとのことで、とても人が生活する空間とは言い難いと涙ぐみながらお話してくださいました。

<被災者の方からいろんなお話を伺いました>

・最初は砂だらけの床に寝ていたが、布団で寝ることができたときはとてもうれしかった
・仮設住宅のご近所間でよく立ち話をしているので、ベンチがあるとうれしい
・狭い空間をどうしたら住みやすくできるのか、生活の工夫について知りたい
(カーテンの付け方や床マットの対策など、さまざまな情報交換がありました)

生活の身近な部分のお悩みがある一方で、漠然とした不安も抱えておられました。

・再建するにしても元居たところに住めるのか何とも言えない状態(不安)
・いつまで仮設住宅に住むのか、いつまでこの状態なのか分からない
・この先3~4年後、どれだけの人が残るかも分からない

直接お話を聞いて、入居時の仮設住宅は、本当に必要最低限の設備しか備え付けられていないため、入居してもすぐに住める環境ではないことを知りました。そのため珠洲市では、早く生活環境を整えられるように、調理器具セットや炊飯器なども配布しているとのことでした。

今回のニトリとの枠組みによる珠洲市への寄付は、仮設住宅集会所にてご使用いただく備品やテーブル、冷蔵庫、電子レンジになりますが、これらが活用され、少しでも日々の生活でのお困りごとが減ってほしいと願うばかりです。

現地訪問で感じた支援の新たな視点

―実際に被災地に行って、お気持ちはいかがでしょうか?

まず、やはりメディアを通じて得ている情報と現地の実態とのギャップに驚きました。復旧が遅れているということは知っているつもりでしたが、自分の認識が浅はかだったと痛感しました。そんな状況下でも、人と人とのコミュニケーションをとても大切にされていて、皆さんで団結して何とかこの苦境を乗り越えようと笑顔で頑張っている姿がとても印象的で感動しました。

実際に足を運んでみて、これまでは会員様から寄付金を募り、それを自治体や支援団体に寄付をするだけに留まっておりましたが、そもそもの災害寄付の在り方について今一度考えるべきだと感じております。被災によって生活する場も人間関係も、これまで構築してきたものが大きく変わり、適応していかなければならない。そこでうまれる課題はさまざまで、被災者の方の本当のお困りごとは生活の身近な部分に常にある状態なのだと知ることができました。

まず、当社としてできることは、被災者の方にあらゆるかたちで支援を届けること、そして被災者の皆さまに代わって正しい情報を発信し、会員様や世の中に伝えていくところから始めていきたいと思います。

布団セットをお届けしました

最後になりましたが、珠洲市令和6年能登半島地震復旧・復興本部 被災者支援部会長 三上豊子様、同本部員 才式嘉明様、仮設住宅入居者の皆様、珠洲市社会福祉協議会、宝立小中学校避難所本部の皆様、株式会社ニトリ落合様、取材にご協力いただき誠にありがとうございました。

―飯村さん、ありがとうございました!

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