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私たちの「未来のデータサイエンティスト」育成に向けた取り組み


「オルタナティブデータ」を知っていますか?

オルタナティブデータとは、従来の金融データ(株価や財務報告書など)以外の情報源から得られるデータのことで、クレジットカード取引データ、ソーシャルメディアの感情分析、衛星画像、GPS追跡データ、ウェブトラフィックデータ、気象データなどを含みます。

技術革新やデジタル化の進展に伴い、従来からあるデータよりも「速報性」と「網羅性」に優れているため、注目が集まっています。

2023年7月、株式会社ナウキャスト(以下:ナウキャスト)と京都大学がデータサイエンス教育での連携を発表し、その研究活動に使用されるオルタナティブデータを私たちが提供することになりました。

このデータは個人が特定されないよう個人情報は一切含まず、復元もできない状態に加工されたものです。今後は、京都大学の学生さんがこのオルタナティブデータを活用し経済活動に関する分析を行い、論文にまとめ、ナウキャストへ報告します。

10月5日に京都大学で開催された「ハンズオンセミナー※1」に、デジタルマーケティング部の牧野さんが参加しました。
牧野さんにセミナー当日の様子を聞いてきました。

※1 ハンズオンセミナー 参加している学生が聴くだけではなく、実際に手を動かして参加する体験型セミナー

※この記事の内容は、取材当時のものです。


牧野 和子(まきの かずこ)
株式会社クレディセゾン デジタルマーケティング部



データビジネスの未来を担う学生さんのために


―私たちがナウキャストと京都大学にオルタナティブデータを提供することになった背景を教えてください

ナウキャストは、クレジットカード決済データ以外にもPOSデータ、人流データなどを用いて消費や物価動向データを公表するなど、公共性の高いオルタナティブデータの活用を推進されています。そのほか事業会社向けの経営判断に資するデータの提供などを行っています。

京都大学は経済学部・経済学研究科の学生を対象に、データに基づいた理論検証や経済政策評価の観点から「データサイエンス教育」の必要性を強く認識されており、より高頻度で入手可能なオルタナティブデータを用いた研究機会を学生の皆さんに提供したいと考えていらっしゃいました。

ナウキャストが「学術研究を目的としたオルタナティブデータ分析を行うことを希望する学生にデータを提供したいと」いう趣旨に賛同して、今回データを無償提供することになりました。

学生の皆さんは提供されたデータを利用して論文を執筆し、論文報告をいただく予定です。
なお、提供されるデータは個人を特定できないように加工したものを利用していただきます。

学生時代の経験を経て、この取り組みへの期待


―10月に実施された講義のポイントや受講した学生の皆さんの様子はいかがでしたか。

実際にオルタナティブデータを使用して分析を行う学生の皆さんへデータの構造や分析ツールの使い方を学んでいただく「ハンズオンセミナー」を京都大学にて開催しました。
「経済理論を学ぶだけでなく、実際のデータでシミュレーションをしてみたい!」という意欲的な学生さん計5名が参加してくれました。

私の学生時代には、実データは入手しづらくシミュレーションすることができなかったので、データを必要としている学生に提供できることを嬉しく思いました。

次に経済学部の専門科目の講義にて「経済理論を学ぶことが実社会でいかに役立っているのか」というテーマで、ナウキャストの辻中CEOより講話をいただきました。


学生の皆さんに講義をされるナウキャスト辻中CEO


「教科書で学んでいることと、実際の金融政策などとの結びつきを実感することができず、社会に出たら学んだ知識が役に立たない」と考えている学生の方もいると思うので、実社会で活用している事例を挙げて、より実社会のリアルを感じていただける講義内容でした。

実際、学生時代に学んだ理論を社会に出て使う機会も多いなと私自身も実感していたため、このセミナーを開催することに意義を感じていました。

辻中CEOが社会全体におけるデータの使い方をご説明いただいたのに対して、私は身近なクレジットカードデータの活用事例として、個人のカード利用明細からCO2排出量が可視化できるSAISON CARD Digital for becozのサービス内容についてご案内しました。

学生さんはデータ活用の幅広さや身近さに驚いていたようでした。


牧野さん登壇の様子


また、本取り組みにおいてナウキャスト辻中CEOより嬉しいメッセージをいただきました。

ナウキャスト辻中CEOより

私自身経済学が大好きで、特に計量経済学に関心を持ち、勉強をしていました。しかし、自分が行いたい分析を実施するためのデータを扱えないことにとても苦労したのを今でも覚えています。
これが今回の取り組みの原体験です。

社会のデジタル化によって、オルタナティブデータが日々生まれていく中で、我々はクレディセゾンさんをはじめ様々なパートナーや公的機関、事業会社などにデータをご提供し、分析を支援しています。

こうした実績やパートナー様とのネットワーク、データ分析の知見を今回の取り組みを通して「未来のデータサイエンティストや研究者」である学生の皆さまに還元できればと思っています。

必ずしも短期的に収益に結びつかなくても、こうした社会的な活動に対して共感してくださったクレディセゾンさんには感謝しかありません。是非今後もビジネスだけではなく、社会への貢献を一緒に推進していければと考えています。


ハンズオンセミナーに参加された京都大学経済学部の安達准教授とナウキャスト隅田さん


私たちだからこそできる新たな研究サポート

―牧野さんが本取り組みに期待されることを教えてください。

今回の取り組みを通じて、ひとりでも多くの学生の方に実データを使ったデータ分析(シミュレーション)を経験していただくことを通じて、大学での勉学にプラスの効果を得ることになればと考えています。

また、ここでの経験を通じて「将来社会に出てデータを活用するビジネスに携わりたい!」という方が出てくれたら嬉しいです!

この取り組みは、多くのデータを日々扱っている私たちだからこそできる学生さんへの研究サポートだと思いますので、単発の取り組みで終わらせず継続していきたいと思います。
また学生さんへと直接お話する機会や講義などご希望のお声があれば、積極的に取り組んでいきたいです。

この研究を通じて、学生さんがどのような気づきを得て論文にまとめられるのかとても楽しみにしています。


―牧野さん、ありがとうございました!



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