「大切な人」の未来のために、今私たちが取り組むこと。【サステナビリティ推進委員会 気候変動戦略推進WG編】
私たちが生活者の一人として商品・サービスを選ぶ際、価格や品質だけでなく、その商品にはどんなストーリーがあるか、環境に配慮したサプライチェーンになっているか、などを気にすることが多くなったのではないでしょうか。「サステナブルかどうか」は、私たちにとって、より身近で大切な考え方になっています。
私たちクレディセゾンは、1980年代よりESG経営を行ってきました。ステークホルダーの信頼を得ながら、持続的に成長していくために、「今よりもっと便利で豊かな持続可能な社会の実現」を目指し、クレディセゾングループだからこそできる様々な取り組みを行っています。
2021年8月に設置した「サステナビリティ推進委員会」では、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)解決に向け、「気候変動戦略推進WG※1」「DE&I※2 推進WG」「Social Impact推進ワーキンググループ」の3つのWGを通じて、グループ全体で事業を通じた社会・環境課題解決への取り組みを強化しています。
そこで今回は、委員会事務局の広報室 土田さんに、気候変動戦略推進WGの取り組み内容や、クレディセゾンのサステナビリティについてお話を聞いてきました。
※1 WG:ワーキンググループ
※2 DE&I:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
※記事の内容は取材当時のものです
環境課題解決に向けて、具体的な取り組みを進める
― 気候変動戦略推進ワーキンググループの活動について教えてください。
サステナビリティ推進委員会では、社会から必要とされる企業であり続けるために、ステークホルダーから何が求められているかを理解し、企業活動に反映させていくことが重要だと考え、3つのWGに分けて取り組みを進めています。
今回お話をする「気候変動戦略推進WG」では、企業に求められる気候変動を始めとする環境課題解決に向けた具体的取り組みの検討・推進していて、例えば「TCFD※3 提言への賛同と、それに基づく情報開示」「CDP※4 質問書への回答」など、各企業に求められる情報開示対応も行っています。
企業の対応は待ったなしの環境へ
― なぜWGの一つを気候変動に特化したものにしたのでしょうか?
みなさん「SDGs」という言葉は聞いたことがありますか?
17のゴール・169のターゲットを掲げ、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す世界的な開発目標です。
それでは「2030年、2050年目標」という言葉は聞いたことはありますか?
日本政府が掲げる目標で、「2030年に温室効果ガスを2013年と比較して46%削減することを目指す」「2050年にカーボンニュートラルにする(温室効果ガスの排出・吸収を均衡させ実質ゼロにすること)」というものです。
SDGsが掲げる17のゴールのうち「13:気候変動に具体的な対策を」に関わる取り組みでもあり、世界でも2021年11月現在、154か国・1地域が2050年カーボンニュートラルを表明※5し、CO2排出量削減への動きが強まってきたことから、世界的に気候変動への取り組みは避けて通れないものになっています。
※5 資源エネルギー庁「令和3年度エネルギーに関する年次報告」第2章より
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2022/html/1-2-1.html
こういった動きを受けて、企業も利益をあげるためだけではなく、CO2排出量をはじめとする環境課題を考慮して事業展開をする必要が出てきたことや、東京証券取引所の市場区分見直しにより、プライム市場を目指す上場会社は、気候変動などの地球環境問題、人権尊重、社員の健康や労働環境への配慮など、サステナビリティ課題への積極的な取り組みが必要になったことも後押しとなり、このWGを作ることになりました。
初めての対応に戸惑いながらも、グループで一つのゴールにたどり着いた
― ワーキンググループでは、まずどのような事から取り組みを始めたのですか?
私たちが気候変動戦略推進WGを立ち上げたとき、いくつかの目標がありました。
・東京証券取引所の新市場区分「プライム市場」に移行
・TCFD提言への賛同、それに基づく情報開示
・CDP質問書への初回答
これらはすべて連動していて、どれ一つとして欠けてはならないもの。
しかし、膨大な情報収集や整理を事務局だけで対応することは困難なため、各部門へ協力要請して進める必要がありました。
片手間ではできない細かな作業を社内だけでなくグループ会社も含めてお願いする難しさや、自分たちも初めての対応でありながら各部門の中心となって取り組みを進める大変さは、今思い出してもとても苦労した経験となりました。
しかし振り返ると、委員会を設置した2021年8月からTCFDの情報開示を行った2022年6月までの10か月間に、委員会10回、WG15回以上も実施しており、短期間でゴールを目指すため各部門と密な連携を図っていたことがよくわかりました。
みなさん通常業務もありながらの対応はとても大変だったと思いますが、各社の力を合わせて一つのゴールにたどり着けたことはとても嬉しかったです。
膨大かつ細かな作業でてんてこまいに。会社の取り組みと社会のつながりを紐解く日々。
― 当時の印象的なエピソードを教えてください。
どれもこれも、取り組むものが細かい!!
一つの答えを導き出すためにいくつもの情報収集が必要でとても大変でした。
例えばTCFDでは、CO2排出量の測定と削減目標を定め開示する取り組みなのですが、オフィスで使う電気料金や出張・通勤で使う交通機関の金額・距離等からCO2排出量を計算し、グループ企業含めた全国各地・数百拠点のデータをまとめる、膨大かつ細かな作業に担当部署はてんてこまいでした。
また、CDP質問書は実際に私が回答作成したのですが、気候変動への対応を整理していく中で、例えばCO2排出につながる紙使用量がどれだけ減ったか計算しようとしたとき、クレジットカード申込書、利用明細書、カード自体のプラスチック素材の使用量、さらにリース・不動産など別事業のデータもあり、たくさんの確認が必要でした。
また、気候変動が当社の財務に与えるインパクトの計算など、普段の自分の担当外の情報も理解しながら進める必要があり、頭を抱える日々。
世界がコロナ禍になり、日本のキャッシュレス化が進んできたことから、CO2排出量削減につながる取り組みがいくつもあり、どれがどことつながるのか理解するだけで頭がパンパンでした…。
でも、違う部門の方にデータの見方を教えていただいたり、実際の回答を相談したりすることで、自分自身の知識も深まったし、当社のどんな取り組みが世の中の求めている情報に直結するのか少し理解できたことは、とても貴重な経験だったと思います。
社会で必要とされる企業であり続けるために、私たちは一歩一歩前へ進んでいます。
― 初年度の取り組み結果はどうでしたか?
気候変動戦略推進WGで目指した、TCFD提言への賛同とそれに基づく情報開示、CDP質問書への初回答など、それぞれ無事行うことができました。
また、2022年12月に公表された当社のCDP評価は、8段階中上位から3つ目の「B:マネジメント」をいただくことができました。
その他、プラスチックカードを発行しないデジタルカード「SAISON CARD Digital」の仕組みを活用した、CO2排出量の見える化とカーボンオフセットができる「SAISON CARD Digital for becoz」の発行開始、循環型社会を目指し廃棄物の再資源化を行う「株式会社リ・セゾン」の立ち上げなど、当社の気候変動対策に関する取り組みは拡大しています。
クレディセゾングループだからこそできる、もっと先のゴールへ向かって
― これからの取り組みについて教えてください。
結果だけ聞くと初年度の目標達成はできたように感じますが、TCFD・CDPどちらも毎年情報更新が必要なため、「戦いは続く…」といった状態。
目に見える形での成果は残せたものの、これがゴールではないと感じています。
私たちの取り組みが、少しでも「今よりもっと便利で豊かな持続可能な社会」、言い換えると、お客さまやお取引先さま、社員やその家族など、「大切な人」のためによりよい未来を作っていけるように、そして、世界・マーケットが求める動向をウォッチし、しっかり対応することで企業成長につなげていけたらと思います。
― 土田さん、ありがとうごございました!次回、DE&I推進WGについてご紹介します。