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内製開発で実現。社員の声を反映したナレッジシステム

クレディセゾンコールセンターで活躍するオペレータがマニュアルやガイドラインを迅速に検索できるよう自社で開発したナレッジシステムについてお話します。

※この記事の内容は取材当時のものです。

氏原 裕矢 株式会社クレディセゾン テクノロジーセンターEXグループ 課長

氏原 裕矢(ウジハラ ユウヤ)
株式会社クレディセゾン テクノロジーセンターEXグループ 課長


内製開発の経緯

当社コールセンターのオペレータは、顧客対応の際にマニュアルを参考にしています。

しかし、このマニュアルは約2,000ファイルが特定のフォルダ階層に保存されており、必要なマニュアルを見つけるのに時間がかかるという課題がありました。

課題解決の検討

この課題を解決するために、オペレータが簡単にマニュアルを検索できるシステムの構築を検討しました。既存ベンダーの製品を選ぶことや、既存ベンダーとの協力体制でシステムを構築することも考えましたが、最終的には以下の理由から内製開発を選びました。

  1. コスト面:外部の製品やサービスを利用するよりも、内製化することでコストを抑えることができる。

  2. 柔軟性:自社で開発することで、必要に応じてシステムをカスタマイズできる。

システム説明

このシステムは、社内で使用するマニュアルやガイドラインを簡単に検索できるシステムです。

コールセンターのオペレータがより効率的にマニュアルを利用できるように設計されています。具体的な機能は次の通りです。

1.マニュアル検索機能
オペレータが約2,000件のマニュアルを簡単に検索できる機能です。これにより、時間を節約し、迅速に顧客対応ができます。

2.マニュアルへの情報付与機能
メモやお気に入り機能を使い、各マニュアルに追加の情報を付与できます。

3.よくみられるマニュアルへの固定表示機能
よく使用されるマニュアルを固定表示することで、必要な情報にすぐにアクセスできるようにします。

4.情報伝達機能
以前はメールや紙で伝達していた情報を、システム上の掲示板のようなプラットフォームで一元管理し、簡単に共有できる機能です。

このシステムは、マニュアル関連の機能をしっかりと充実させると同時に、情報伝達の効率化も図っています。オペレータの業務効率が向上し、より良い顧客サービスを提供できるようになりました。

システム構成図

大変だったこと

このプロジェクトは、システム構築の経験を持つ中途採用の私(氏原)と、社内公募で集まった4名のメンバーで進めました。内製開発チームとして初めて社内ユーザー向けに作成したシステムだったので、リリースまでたくさんの課題に直面しました。

特に大変だったのは、ユーザー部門の言葉や業務文化を理解することでした。

これまでの経験では、営業担当と同行して要件を聞くことが多く、ユーザー部門のまとめ役を通して話を聞くのが一般的でした。しかし、内製開発ではユーザーの声を直接聞くことになり、業務用語や具体的な作業内容を理解するのに苦労しました。

しかし、HRTの原則(Humility: 謙虚、Respect: 尊敬、Trust: 信頼)を大切にし、ユーザー部門と積極的に会話を続けました。また、社内公募で集まったメンバーが業務知識を補ってくれたおかげで、この問題を克服することができました。

リリース後について

システムのリリースは大きな節目ですが、ユーザー全体がシステムを使い始めたことで、さらに多くの要望が寄せられました。これらの要望をユーザーと話し合いながら、システムの改修を続けています。

当初はコールセンターのオペレータだけが使う予定でしたが、他の部門からも「このシステムを使いたい」との声が上がり、順次他の部門にも開放しています。

余談:やらかし

システム運用中に、データベースの負荷が予想以上に高まり、システムが一度停止してしまう障害が発生しました。このとき、各部門から多数の問い合わせが殺到し、かなりのパニック状態になりました。しかし、一方で「こんなに多くの人に使ってもらえているんだ」と嬉しさも感じました。(関連部署の方、すみません)

今後について

今後の計画には、システムを安定して運用するための「守りのタスク」と、ユーザーにとってより使いやすくするための「攻めのタスク」があります。

守りのタスク

システムはリリースから約3年が経過しており、使用している技術の中には数年以内にサポートが終了するもの(EOL)があります。これらを更新し、システムを継続的に稼働させるための作業を計画しています。

攻めのタスク

最近注目されている生成AIの導入を検討しています。以前、一度導入を試みたものの効果が得られず失敗しましたが、そのときの経験を他のプロダクトに活かして一定の成果を得ました。技術的にも生成AIにプラスアルファの要素を加えることで成果が得られる見込みが立ってきたため、このシステムにも生成AIを再度導入する予定です。